ナッツ&ミルクに花束を

 なんでこのゲームなんだろう、って思われる方も多いのではないのだろうか。

 知ってる人は知ってるファミコンソフトである。もとはX1とかでもあったみたいだが、そちらはまだ見たことがない。なんしか私がファミコンを買ってもらって、2本目に買ってもらったゲームソフトである(ちなみに1本目はF1レース)。そして記憶の限り、わたしが最後まで解けた数少ないゲームである。と言い切っておいて何だが、だんだん自信がなくなってきた。

 本当に50面まで解けたっけ?そもそも50面もあったっけ?謎は深まるばかりであるが、別に攻略法を書こうなんて話でもないので別にいいや。

 要は私が大好きなゲームなのである。個人的にあんまりゲームする人ではないだが、このゲームについては何か文章に残しておきたいと思っていた。

 何ってキャラクタがかわいい。いわゆる萌えって時代でもないし萌えキャラでもないが、かわいいのである。敵も似たり寄ったりでかわいい。そしてルールが単純。敵をかわしてゴールにたどり着けばいい。床に落ちてもしばらく気絶するだけで死なない。ただ水に落ちたらダメ。

 スーパーマリオもイースも最後まで行けず、友達にクリアさせてはそれを見るのを楽しみにしていた私でも、このゲームは自力でやってた。

 開発は古き良きハドソン。現品は手放してしまった。買い戻したいがまだできていない。プレミアがつくこともないと思うが。

 ボーナスステージもある。上空にフルーツが浮いているので、制限時間内にジャンプして取るだけ。簡単だけど私にとっては難しい。全部クリアするとおめでとう画面は出てきたような気がする。気がするってなんだ。

 当時は女の子向けとか書かれていたけど、今ならその手の人たちにボロクソに言われるだろうし、禁句だな。あと女の子はよくぷよぷよにはまってるケースが多いので、注意されたし。うかつに対戦するとボッコボコにされる。(経験則)

 ゲーム紹介はこの程度である。なんだもう書くことないじゃん。薄い本はおろか1コーナーにもならないで?いやいや、言いたいことはまだある。

 要はこのゲームの持つやさしさについてである。ゲームとやさしさについては大杉ぴゅう太氏がその著作の中で語られているが、ぴゅう太に限らずやさしさをもったゲームは少ない。やさしさ=簡単さではない。プレイヤーを最終面クリアまで導ける、いい意味でトレーニングしてくれるゲームである。

 最近の子は本を読まない算数をしないとか言って、うんこ足し算とかとっつきやすさに特化した本が一部見られるが、そうじゃないって話である。そういえばイースも優しさが云々言ってた気がするけど、自分にとっては全然やさしくないで。ヘタクソにも程があるんだろうけど。

 自分が解けたゲームといえば、記憶が確かならこのゲームとドラクエシリーズの一部くらいである。あ、ファミコン探偵倶楽部もあったか。

 なにしろアクション要素があるとだめらしい。シューティングとかもうデモ画面見ただけでご勘弁である。世界観でいえばグラディウスとかアフターバーナーとか大好きなのであるが、良くって二面くらいで終わる。もちろんトレーニングという意味合いではこれらのゲームもゼロではない。68の修理をしているときに

動作確認でアフターバーナーを使うのであるが(2ドライブ使用してプロテクトもかかっているのでFDDのテストには都合がよい)、何回もテストしているとだんだん行ける面が伸びていく。コンティニュー使えば最後まで行けるんだろうが、それが目的ではないのでやめてしまうけど。

 やさしさといえば、最近いいなと思ったのがどうぶつの森である。世界観がすごい。何しろ敵がいない。悪の魔王もいない。木の実とって魚つってタヌキに借金返して家を大きくするだけ。別にどんどん難しくなるわけではない(借金は増えるけど)。リアルタイムであるが、サソリをとるとき以外は気にすることはない。

もちろん終わりがない代わりに飽きはあって、どこかでやめてしまうんだろうけど、それは本人次第。納得すれば終わり。

 家人がプレイしているのを見ていただけであったが、なんとなく売れる理由がわかる気がした。正直私が今から移植物のシューティングを買ったところで、相手にされるわけがない。初回から弾幕張られて終了。エロ麻雀でのっけに相手に天和上がられて終わるのと変わらない。

 もちろんここでシューティングゲームも簡単であるべきとかいう議論を展開するつもりもない。ゲームセンターだとインカム問題あると思うし、そもそも語りつくされた議論である。ここでは自分と一緒に人生を歩いてくれたゲームに絞って語りたい。

 ちょっと話はそれるが、私はゲームの説明書が大好きである。薄いメモ帳くらいの冊子に世界の説明と操作方法と、場合によっては簡単な攻略法も書いてある。今どきはパッケージがでかくても中身はカートリッジのみってのがほぼ当たり前になりつつあるが、ゲーム前に説明書を読むだけで頭の中に世界観が膨らむ。

 もちろん説明がなくてもとりあえずやってみればいいというのが、今当たり前のスタンスだし、昔から説明書を読まずに始める人もいたので、この思いがすべての人に通じるとは思ってもいないが、私にとっては文庫本の表紙裏に書いてある導入の文書みたいである。

 ご多分にもれず、ナッツ&ミルクにも説明書がついている。少なくともファミコン版では自分で面の作成もできたので、それなりの量があったと記憶している。ゲームを買って開封して、説明書を出して世界観に浸るというのが当時の私の楽しみ方だった。

 敵云々でいえばもちろんナッツ&ミルクだって敵がいる。先ほどにも述べたようにやさしさ=簡単さではない。プレイヤーを挫折させることなく次の面、次の面と誘いこんでいく力みたいなものである。たまたま難易度設定が私にも適合するくらい低かっただけかもしれないが、このゲームに挫折はなかった。ダメだった場合でもなぜダメなのか、次からはどうしたらいいのか考える余地があった。

 ここまで書いて、もし自分がこのゲーム最後まで解けてなかったらあほやなと思った。単なる老人の妄言やん。昼ご飯は食べたでしょ。

あ、あとこのゲーム何がかわいいって土管がかわいいんやで。知ってる人にはわかってもらえる。黄緑色の土管。以下土管のかわいさについて語りたいところだが、これだとただのゲーム下手の言い訳と土管好きの語りなのでやめとく。

んでその土管なのだが(略

 あと、飽きない。これも大事。250面とかあったらどこかで心が折れると思う。セーブも効かなくてパスワードもなければ50面がせいぜいだろう。高○名人もゲームは一日48時間って言ってたし。

もちろん適宜な量だけじゃなく、最後の最後までモティベーションが続いてなければいけない。いろいろ注文が多いな。

 話を収束に向かわせるために論点を絞ると、

1. アクションゲームにもやさしさがほしい。

2. やさしさは簡単さではない。ゲームを進めるたびにプレイヤーを育てること

3. そこそこの長さ。簡明さ。

4. 自分の近くにあったのが、たまたまナッツ&ミルクだった。

かな。

 論点の通り、別にこの文章を読まれた方にナッツ&ミルクをプレイすることを勧めるものではない。

ただ、私にとってのナッツ&ミルクのように、皆さんにとって30年後もその良さを語れるようなゲームに巡りあえてくれればと切に願うものである。

(追記:この文章は2020年発行のレトロエクスプレス運転報6号に掲載されたものです。その後ナッツアンドミルクの実物美品をほぼ1万円(箱にこだわったら大変なことに)で取り戻しましたが、ファミコンの接続ケーブルがどっかいったままです。)